新型コロナと睡眠
今日は睡眠と免疫力の関係について考えてみたいと思います。
今回の新型コロナウイルス感染症の拡大によって睡眠に新たな問題が生まれたと言われてます。
睡眠を研究する世界的研究チームの報告
自然災害などのいわゆるクライシス(危機状況)が起こったときには、ストレスなどから睡眠障害に悩む人が増えることが知られています。
新型コロナウイルス感染症のまん延も危機という意味では同じですが、ストレスのかかり方が違います。
強いストレスが短期間にかかるのではなく、緩いストレスが長期間かかり続けるのです。
感染への不安はもちろんのこと、雇用不安、経済不安などがボディーブローのように効いてきます。
さらに、ライフスタイルの変化による”夜型化”も睡眠を乱す大きな要因です。
ステイホームによるオンライン授業やリモートワークによって生活が不規則になり、就寝時間・起床時間が後ろにずれる人が増えました。
夜遅くまでスマートフォンやパソコンの画面を見てブルーライトを浴びることも、睡眠のリズムを乱す要因です。
感染・雇用・経済への不安が長期的にかかり続ける事によってストレスがかかります。
さらにはステイホームにより睡眠時間がずれ夜型化した事などによって、人々の睡眠リズムが乱れました。
ホルモンと睡眠障害
この「夜型化」によって起こる睡眠障害を「概日リズム睡眠障害」といいます。
体内時計のリセットに重要なのは、目から入る太陽光によって分泌されるセロトニンというホルモンです。
セロトニンは太陽光が目に入ると分泌され、その約16時間後にメラトニンというホルモンが分泌され夜の自然な眠気を誘います。
しかし、夜間にブルーライトを浴びると、交換神経が働きメラトニンの分泌が抑えられてしまいます。
その結果睡眠リズムが後退し、朝起きる時間にはまだ体内時計は睡眠モードとなります。
そこで無理やり起きると、体や脳は眠ったままとなり、質のいい睡眠となりません。
それが続きますと自律神経のバランスが崩れ、頭痛や耳鳴り、めまい、下痢、倦怠感などの体の不調や、イライラ、集中力や意欲の低下、抑うつ感が起こりやすくなります。
ホルモン分泌の乱れによる睡眠障害により、リモートが解除され、通常の状態に戻っても睡眠リズムが崩れたままにあり様々な障害が残っていると言われてます。
睡眠不足と免疫力
睡眠不足は免疫力にも影響します。
風邪をこじらせて肺炎になるリスクは、睡眠時間が5時間未満の人は8時間睡眠の人に比べて約1.4倍と言われてます。
また、睡眠時間が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染リスクにも影響するとも言われてます。
欧米6カ国の医療従事者2,884人を対象にした調査で、夜間の睡眠時間が1時間長い人では、COVID-19に感染するリスクが12%低く抑えられとの事です。
今回睡眠障害の中でも、いびきをかき、睡眠中に何度も呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」の持病がある人は、新型コロナウイルスワクチンの優先接種対象となりました。
SASではCOVID-19感染リスクが約8倍高く、重症化リスクが2倍になるという調査報告です。
睡眠中の低酸素状態が続く事による事が原因との事です。
睡眠の問題はワクチンの効力にも影響があり、睡眠時間が4時間の人は、8時間の人に比べて作られた抗体量が半分以下だったとの報告もあります。
睡眠は全身のメンテナンスの時間です。
睡眠時には、免疫機能を高めるいくつかのサイトカイン(免疫機能を活性化するたんぱく質)の分泌が促進されます。
風邪を引いたときや病気に罹ったときにサイトカインが分泌されることで眠気がもたらされます。
睡眠によって病気の回復を早めるために分泌されます。
睡眠時間、質は免疫機能から健康状態全般に大きく影響します。
コロナに限らず病原体から身を守るためにも睡眠はおろそかにできないですね。
睡眠対策/厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html